梅が旬を迎える時期に梅干しや梅酒を作る手仕事を「梅しごと」と言います。
青梅がお店に出回り始め、梅ジュースを漬けるひと手間も「梅しごと」のひとつです。
自宅で簡単に漬けることができる梅ジュースは、さっぱりとおいしく、梅のクエン酸効果で疲労回復も期待できます。
梅ジュースと作ると漬け終わった残った梅がもったいないのよね。
でも梅の実には毒があるって聞くし、食べれるのかしら?
梅ジュースに残った梅、大量に漬けるのでもったいないですよね?
生の梅には毒があると聞きますが、梅ジュースを作った後の梅は毒素が分解されてエキスが出きっているので、実は食べれるんです!
今回は、梅の毒についてや、梅ジュースに漬けたしわしわの梅について解説します。
そして、漬けたあとの梅がおいしく食べれる方法もご紹介します!
梅ジュースに漬けた梅は食べれる!
梅ジュースで砂糖漬けにした梅は、実は毒素が分解されるので食べれるんです!
梅ジュースは、梅酒のようにアルコールで漬けたり、下処理で加熱したり、干したりしません。
なので、「梅ジュースの梅は生のままなので毒があるのでは?本当に食べれるの?」と疑問に思われると思います。
確かに、梅を加熱せずに使ったら、梅は生のままな気がしますよね?
では、どうして梅ジュースの梅は食べれるのか、梅の毒について説明しながら、解説していきます!
梅の毒の原因物質はアミグダリン
生の青梅には毒があるって聞いた事あるけど、梅の実の毒って何のことなの?
生の梅の実や未熟な梅の実には「アミグダリン」という物質が含まれていて、これが梅の毒の原因物質です。
アミグダリンは、まだ未熟な種を外敵から守るために、未熟なバラ科の果実の種(すもも・あんず・びわなど)に多く含まれていると言われています。
梅もバラ科の仲間なので、アミグダリンが含まれています。
アミグダリン自体に毒性はないものの、食べて胃液に触れると「青酸」と「糖」に分解されて、「青酸」という毒成分が作られます。
「青酸」は「青酸カリ」など毒物・劇物として有名なので、怖いイメージがありますね。
この「青酸」が原因となり、生の梅を食べると中毒を起こすと言われているのです。
梅ジュースの梅のアミグダリンが抜けるのは砂糖漬けのおかげ
どうして、梅ジュースで砂糖漬けにすると毒が抜けて食べれるの?
梅の実が熟して種が硬くなると未熟な種を守る必要がなくなるので、アミグダリンはだんだんと減っていきます。
梅ジュースは梅を糖の中で漬けて強制的に熟させているので、アミグダリンも徐々に分解されて減っていきます。
漬けている間にアミグダリンは分解されて残る量はわずかになり、人体に影響が出なくなるので食べることができるのです!
梅ジュースに漬けた梅はおいしい梅とおいしくない梅がある
梅ジュースに漬けたあとの梅は、梅のエキスは出てしまっているものの、おいしく食べれます!
ただし、おいしく食べれる梅とおいしくない梅があります。
漬けたあともおいしく食べれるのは、少ししわしわになってても果肉が残っている梅です。
果肉が残っている梅は、調理したり工夫したりすれば、活用することができます。
漬けたあと食べられないのは、果肉がカチカチになって硬くなってしまった梅です。
硬くなってしまった梅の実は、中身がスカスカでおいしくありません。
この硬くてスカスカになった梅は、果肉がなく使い道もないので捨ててしまいましょう。
梅ジュースの梅がしわしわになるのは半透膜のせい
梅ジュースに漬けた梅がしわしわになるかどうかは、浸透圧に利用される半透膜が壊れているかどうかで変わります。
浸透圧とは、濃度の違う液体が半透膜によって隣り合っているときに、濃度を一定に保とうとして水分が移動する圧のことです。
このとき、半透膜は水分は通しますが糖分は通すことができません。
梅ジュースを作るとき、梅の実の中よりも外の方が糖分が多く、濃度が高い状態になっています。
梅ジュースの濃度を下げようとして、梅の実から水分が出ていくのが浸透圧です。
なので、未熟な生の梅はこの半透膜の機能によって浸透圧が起きて、梅の中の水分が急激に出てしまい、中身がスカスカでしわしわになってしまうのです。
しわしわのスカスカになってしまった梅は食べることができませんが、果肉が残るまるみのある梅にするにはどうしたらいいのでしょうか?
梅の半透膜が壊れる原因は2つ
梅の半透膜が壊れる原因は2つあります。
<中身が熟し始めて半透膜が壊れているから>
熟していない青梅はまだ半透膜が機能しているので、しわしわのスカスカになりやすくなります。
一方、表面が黄色く色付き始めた梅は、もう熟され始まっているので、半透膜の破壊が進み、しわしわになりにくくスカスカになりにくくなります。
漬けた梅が全部青梅だったのに、一部の梅はしわしわにならなかったということもあります。
それは、外側はまだ青くても中は熟し始めていたということです。
外見は青梅でも、中身は熟している梅もあるんだね!だからしわしわになる梅とならない梅があったんだ!
<漬ける前にした処理をするから>
梅を漬ける前に、一度梅を凍らせたり、竹串などで小さな穴をあけたりして、下処理をすると、半透膜は壊れます。
そうすると、浸透圧は起こらなくなり、漬けたあともまるい果肉が残る梅の実になります。
下処理をして半透膜を壊せば、しわしわのスカスカの梅にならず、漬けたあともおいしく楽しむことができますよ!
下処理をするのは大変だけど、そのあと漬けた梅が活用できるなら、下処理をしておいた方がいいかも!
1か月経ったら梅ジュースから梅を取り出そう
「漬けた梅がしわしわになったら梅を取り出すサイン」と言われていますが、梅がしわしわにならなくても、漬けて1か月ほど経ったら梅を取り出しましょう。
梅のエキスは、2週間から1か月程度で液糖の方に溶け出します。
1か月経てば、梅のなかから梅のエキスはほとんど出てきてるので、取り出して大丈夫です。
1か月以上梅ジュースに漬けておくと、発酵や腐敗が進み始めて食べれなくなってしまいます。
ホワイトリカーや焼酎で漬ける梅酒は、アルコールが腐敗を止める役割をしていますが、梅ジュースはアルコールが入っていないため、腐敗や発酵が進みます。
そのため、漬けていた梅からカビが生えてくることもあるので、1か月程度で梅を取り出しましょう。
梅ジュースのあとの梅を再利用しよう!
梅ジュースを作ったあとの梅を再利用して、上手に使い切ってみましょう!
残った梅の実の再利用として、おすすめの方法はこちらです。
工夫によって再利用の方法は広がっていきそうですね!
梅ジュースもおいしいですが、漬けた梅を再利用したレシピもおいしそうなものばかりでした!
このなかでも、私も調べていて作ってみたいレシピやおいしそうなレシピを見つけたので紹介していきます!
定番の梅ジャム
定番の梅ジャムは、トーストに塗っても煮物の隠し味に使ってもいい、重宝する一品です。
まずは、梅ジュースに漬けたあとの梅(約1kg)を鍋に移します。この時梅ジュースは完全に切らずに少し入るくらいがちょうどいいです。
梅と砂糖(約100g)、はちみつ(約50g)を入れたあと、梅がひたひたになるまで水を入れます。
かき混ぜながらコトコト煮て、アクが出てきたらアク取りをします。
梅の実が柔らかくなってきたら、ヘラで梅の実をつぶしながらほぐして、種を取り除いていきます。
お好みの柔らかさになるまで煮詰めて、熱いうちに熱湯消毒した瓶に詰めたらできあがりです。
梅の甘露煮
梅の甘露煮は、とっても簡単にできる梅の再利用レシピのひとつです。
梅ジュースからあげた梅と同量の水(梅が100gなら水も100g)と、その半分の量の砂糖(梅が100gなら砂糖は50g)で、煮るだけで作れます。
あとは、お好みの固さまで煮れば完成です。
柔らかくぽってりして、煮込んで酸味が抜けて甘くなっているので、味にびっくりします!
お茶漬けのお供にも合いそうです。
梅肉みそダレ
梅ジュースに漬けた梅(5粒くらい)を実と種にわけて、実を包丁でたたいたり、ざっくりと刻んでいきます。
計りの上にフライパンをのせて、材料をのせていきます。
たたいて刻んだ梅の実、砂糖(約30g~)、みそ(約100g)、白いりごま(約大さじ2~)、かつおぶし(約3g)、みりん(大さじ1)、酒(大さじ1)をフライパンに入れます。
分量は、多少適当でも大丈夫です。
弱めの中火で焦げないように、お好みの硬さまで練っていきますが、冷めると固くなるので、柔らかめにするのがポイントです。
冷めたら熱湯消毒した瓶に詰めて、完成で、冷蔵庫で1週間から10日間は保存ができます。
カツオのたたきにのせて食べると、カツオの臭み消ししもなって、さっぱり食べれます。
焼きナスの上にのせて食べてもおいしそうだなと思いました!
梅肉みそダレを作っておけば、いろんな焼き野菜にも合いそうですね。
梅のドライフルーツ
梅をドライフルーツ風に加工すれば、長期保存ができておすすめです。
梅ジュースからあげた梅とひたひたになるくらいまで水を入れ、煮ます。
柔らかくなって実がふっくらしたら火を止めて、梅の実の水気をキッチンペーパーでふき取ります。
実から種を取り出して、160℃のオーブンで20分ほど焼いて水分が飛んだら出来上がりです。
そのままおやつとして食べることもできますし、お菓子作りの材料としても利用できます。
梅のハニーパンケーキ
普通に作るパンケーキに、プレーンヨーグルトとレーズン、そして梅ジュースに漬けた梅の梅肉を刻んで入れます。
あとは、今までと同じように焼くだけです。
仕上げに、梅ジュースとはちみつを混ぜて梅のハニーシロップをかけると、より甘酸っぱく食べれます。
スイーツの生地に、梅ジュースの梅肉を刻んで入れる方法は、カップケーキやシフォンケーキなどもありました。
スイーツに関しても、梅の再利用の方法は広がりそうですね♪
まとめ
- 梅ジュースで砂糖漬けにした梅は、毒素が抜けているので食べれる
- 梅の実の毒の原因物質は「アミグダリン」という物質で、バラ科の果実の種子に多く含まれている
- この「アミグダリン」が胃の中で「青酸」と「糖」に分解されて、「青酸」が中毒を起こす
- 梅ジュースで砂糖漬けにした梅は、砂糖の中で急速に熟している状態になり、アミグダリンが分解されて人体に影響がでない量になる
- 梅ジュースに漬けた梅には、しわしわスカスカでおいしくない梅と、しわしわだけど果肉が残る梅、2種類の梅ができる
- しわしわでスカスカの梅は、おいしくないので捨ててしまいましょう
- 梅の実が漬けたあと、しわしわスカスカになるのは浸透圧のせいで、梅の半透膜を壊せばしわしわスカスカにならなくなる
- 漬けたあとも果肉が残っている梅は、再利用して工夫するとおいしく食べられる
梅ジュースを漬けたあとの梅、毒があって食べれるか不安だったあなたも、これで漬けたあとの梅を活用したくなったはずです!
これで、梅ジュースを作ったあとの梅を食べれる楽しみが増えたのではないでしょうか?
毒が抜けてるとわかれば、あなたのアイディアでいろんな料理に再利用してみてください。
今まで梅ジュースを漬けたことがなった私ですが、今年は青梅と氷砂糖と漬けるガラス瓶を買って、漬けてみようと思います!
今年の夏は梅パワーで疲労回復して夏を乗り切って、梅尽くしの夏にしてみたいと思います♪
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